ソーラーシェアリングの可能性

2021.7.06

ソーラーシェアリング現場見学会が終了し大変多くの方にご来場頂きました。

当日は天気も心配されましたが、お越し頂く皆様が増えるのに比例し天候も上向き、無事終える事が出来ました。

ご来場頂きました皆様誠にありがとうございました。

見学会前日には地元紙の長野日報様、信濃毎日新聞様にも取り上げて頂き、

多くの方にソーラーシェアリングの存在を知って頂きました事、この場をお借りして感謝申し上げます。

http://www.nagano-np.co.jp/articles/23060    (2017年10月6日 Nagano Nippo Web


新聞

長野日報 2017年10月6日


新聞

信濃毎日新聞 2017年10月6日

営農型太陽光発電設備(ソーラーシェアリング)は、諏訪盆地で2例目という事もあり大変な注目を

浴びておりますが、今回はソーラーシェアリングの可能性に関してお伝えしたいと思います。

 

①農業イノベーションの可能性

営農型太陽光発電設備はあくまで農業がメインであります。

その為、農業を主体に事業を考える必要がありますが、
この農業がソーラーシェアリングで新しい営農の形が全国で生まれてます。

農業というと、色々な見方があるかと思いますが、私達もソーラーシェアリングの事業を考える中で

農業という産業はこれからイノベーションが起こる可能性が非常に高いと感じております。

これは何も営農型太陽光発電設備を設置しなくても、既に全国的にイノベーターが活躍しておりますが、

営農型太陽光発電設備によりさらにこの流れが加速すると予想します。

現在農業もIoTが活用されており、土壌、収穫量等が見える化され、そのデータを基に理論的に

事業展開する事で収穫量を上げている農家さんがいらっしゃいます。

また、新規就農される方もこういったデータを利用する事で、参入障壁が低くなり

農業を前向きに考えられる方も増えているのではないでしょうか。

全国の営農型太陽光発電設備の農業に関しても、既に色々な事例も出来てきました。

「日射が程良くなり、地温が下がる事で収穫量が増えた」

「売電収入が出来た為、新しい栽培方法や6次産業化に挑戦出来る」

「兼業農家から、専業農家になる事が出来た」

「耕作放棄地を市民農園に変える事が出来た」

等、大変前向きが声が全国各地で上がっております。

今回私達が監修しました設備も、30代の若い方がブルーベリーの養液栽培を行うにあたり、

電気を使う為、太陽光で作った電気を動力ポンプで使用し余った電気を売電しております。

このように、今まで無かったテクノロジーが出た事で派生的に新しい発想が生まれており、

今後は新しいプレーヤーが活躍出来るチャンスが広がると考えております。

ただ、悲しい事に事業開始後、太陽光発電メインで許可を取ったと思われる案件もあり、疑問の声が

出ている事も事実であります。

 

②ムリがない再生可能エネルギーの普及

2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT)。

この施策により、日本にも多くの再エネ電源が誕生しました。

FIT開始から5年、全国各地では様々な問題が起こっている事も事実です。

これを受け経済産業省は本年4月に「改正FIT法」を施行しました。

様々な変更点がございますが、その中の大きな注目点として「維持管理」が強調されております。

「誰の発電所か分からない」

「パネルが草で覆われている」

「パネルが割れたまま放置されている」

「盗難が相次いでいる」

「フェンス等がない為、子供が危ない」

「同条件の発電所でも発電量が異なる」

等により4月1日より改正FIT法が施行されました。

これは太陽光発電システムがメンテナンスフリーという言葉も1人歩きし、

完成させる事ばかりがフォーカスされ、その後の維持管理の意識が希薄であった結果だとおもいます。

私達もこれらを反省し、今後の維持管理を強化していきます。

ただ、この維持管理は通常の野立て太陽光発電所と営農型太陽光発電設備とは異なる事がございます。

事業者様が現場に行く機会が圧倒的に多いという点です。

農作業を行う為、どんな作物でも1週間に1度は必ず現地に行かれます。

その際、発電設備に異変があれば直ぐに気づく事は勿論ですが、

景観上の維持管理も自然に行うようになります。

いくら大手メーカーさんがメンテナンスフリーと言っても、定期的に維持管理を行っている発電所と

問題が起こった際だけに管理をする発電所とでは、長期的に考えてどちらが優位かは言うまでもありません。

 

③長期的な営農事業、売電事業では魅力的な事業

固定価格買取制度は20年(10年)で終了しますが、農業はその後も継続します。

売電事業も買取価格はさておき、20年後全くなくなる事は有り得ない事です。

現に経済産業省の改正FIT法のガイドラインでは20年後も事業を継続するよう指針が出ております。

この時、焦点になる事は2つ

一つ、営農に於いて無料と言っても過言でない電気が使える事。

二つ、売電となった場合価格競争力がある可能性が非常に高い。

どちらも20年後の事なので、話半分の考察になりますが、方向性は間違っていないと言えます。

まず一つ目の自家消費電力ですが、こちらはパワコンの買換えの事はございますが、

その他のシステムに関してはまだまだ10年以上問題なく使えます。

各パネルメーカーは出力保証を行っており、各メーカーで違いはありますが、

だいたいのメーカーで25年の出力保証が付いております。

私達の考えでは30年間はパネルは電気を生んでくれると考えております。

仮に20年目に全てダメになった(考えられませんが)としても、

ほとんど無料の電気と言える事がございます。

現在、太陽光発電の最も安い買取価格は世界で見た場合、3円/kwh以下です。

日本は21円/kwhですが、3円でも採算が取れるという事です。

つまり、20年後システムを全て入れ替えたとしても、その時の建設コストが驚く程安く、

売電収入の一部で設備を一新してしまえば、ほとんど無料と言えるのはないでしょうか?

二つ目の売電事業に関しては、土地の固定資産税が焦点になります。

農地転用を行った太陽光発電設備は雑種地として評価される為、

農地の時と比較し固定資産税が上がります。

しかし、営農型太陽光発電設備はあくまで農地ですので、固定資産税は農地並みになります。

土地によっては僅かな違いしか生まれない事もあり得ますが、

営農型太陽光発電設備の方が安くなる事は間違いありません。

また固定資産税の事を抜きにしても、営農型太陽光発電設備事業者と

太陽光発電事業者だけを行っている方で大きな違いがあります。

農業収入(農業関連収入)があるという事。

売電収入だけの方、売電+農業収入の方で価格競争になった場合、

どちらが優位かも言うまでもありません。

 

これら、ソーラーシェアリングの可能性についての考察ですが、

あくまで農業を前向きに捉えられる方に向けたお話になります。

もしこれを読んで頂き、少しでも興味が湧いた方がいらっしゃれば是非お会い出来れば幸いです。

食も電気も同じエネルギーです。

持続可能社会について少しづつでも前進出来るよう今日も励みます。

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