【グッドライフの視点】FIT後の太陽光発電はどうなる?

2026.4.23

固定価格買取制度(FIT)が始まって十数年が経ち、初期に導入された太陽光発電所の多くが、すでに買取期間を終えつつあります。では、FIT終了後、事業者は発電をやめてしまうのでしょうか。

このような質問を受けることがあります。今回は、この問題に対して我々がどう考えているのか、我々の立場を明らかにするブログ記事です。

ポイント

  • FIT終了後も、多くの太陽光事業は継続される可能性が高い。
  • 一方で、小規模案件や老朽化設備では撤退・集約の動きもあり、すべてが継続するわけではない。
  • 日本の電源に占める太陽光は約1割であり、一定規模の停止があれば電力政策への影響は小さくない。

結論からいえば、「やめる」より「続ける」または「売却する」という選択をする事業者が多いのではないかと我々は考えています。

我々が考える理由は以下の2つです。

理由①:やめるメリットが小さい

FIT終了後は固定価格での買取がなくなりますが、多くの事業者はすでに初期投資を回収しており、買取がなくなった後でも設備を動かし続ける限り一定の収益を見込めます。太陽光発電は売電単価が下がっても、発電を継続する経済的な合理性は残ります。

むしろ、発電をやめる場合には、撤去費用や土地利用の見直しなど、追加のコストが発生します。そのため、設備の状態が良好であれば、継続した方が得だと判断されやすいのが実情です。

また、谷澤総合鑑定所の調査(2021)では、FIT終了後の方針について2021年時点で43%が継続、2023年時点では72%が継続と報じられています 。つまり、少なくとも投資家・運用者の意識としては、FIT後も事業を続ける方向にかなり強く傾いているといえます。

卒FIT後は小売電気事業者との新たな売電契約など、FIT以外の収益化手段も広がっています。加えて2025年には政府がFIT終了後の小規模事業者の集約・再編を進める動きも報じられているなど、太陽光発電業界をめぐって制度上の整理が取られていくのではないかと見ています。

一方で、一部の事業者による使用済み太陽光パネルの放置問題も指摘されており、悪質な事例が地域に負担をかけています。これに対し、2026年4月に政府が「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」を閣議決定し、今国会で提出されました。この法案は、大規模事業者を中心にリサイクル義務を課し、費用効率的な処理体制を整備する内容です。

今後も、望ましくない太陽光事業の制限や、規制・出口ルールの強化が議論され、業界全体の持続可能性が高まっていくことが重要だと考えています。

理由②:日本のエネルギー約1割を担う電源だから

日本の電源構成において、太陽光発電はすでに無視できない規模に達しています。年度や指標の取り方によって差はありますが、日本の電源のおよそ1割を太陽光が担っているとみるのが適切だと考えています。

したがって、もし太陽光発電設備が大規模に停止すれば、電力供給や需給調整、脱炭素目標に少なからぬ影響が出ると考えられます。もちろん、実際には一斉停止ではなく、設備の更新時期や採算性に応じて、継続・転用・売却・廃止が分かれていくはずだろうと思います。それでも、FIT後の太陽光をどう維持・活用するかは、国にとっても重要な政策課題だろうと考えています。

自治体レベルでも、地域マイクログリッドや再エネ地産地消の取り組みが進みつつあり、太陽光は地域のエネルギー基盤として位置づけられ始めていると我々は見ています。

まとめ

FITは太陽光発電の普及を後押しした制度でしたが、FIT終了は太陽光事業の終わりを意味するわけではないと考えています。むしろ、投資回収後も稼働を続ける案件が多く、FIT後はより多様な取引形態のもとで発電を継続していく時代に入っていくと考えられます。太陽光は今も今後も、日本のエネルギーの土台の一つになっていくだろうと我々は考えています。


参考

産経新聞(2025年4月18日)太陽光発電、優遇措置終了後の大量撤退危機 政府が小規模業者集約へ新制度https://www.sankei.com/article/20250418-OPJND4XBO5OHXIQGKZICV4NJXE/


谷川総合鑑定所「第5回再生可能エネルギー発電施設投資家調査調査結果概要書」(2021)https://www.tanikan.co.jp/wp-content/uploads/2021/05/Renergy_pwgenfac_invsurvey_resumry_202105.pdf


環境エネルギー政策研究所(2024)国内の2023年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)https://www.isep.or.jp/archives/library/14885