【社長ブログ】『太陽光発電は誰もがアクセスできる油田だ』 ― 地域資源を活かし、地域の未来をつくる ―
近年、再生可能エネルギーへの注目が高まっています。
その背景には気候変動問題やエネルギー安全保障の課題があります。しかし、私たちグッドライフが再生可能エネルギーに取り組む理由は、それだけではありません。
私たちが目指しているのは、単なる発電事業ではなく、「地域主導型・地域共生型のエネルギーシステム」の実現です。
前回の記事では、欧州で広がる「エネルギー民主主義(Energy Democracy)」という考え方を紹介しました。エネルギー民主主義とは、市民や地域がエネルギーの意思決定に参加し、エネルギーを地域の共有財として活用していく考え方です。
では、なぜ私たちはそのような社会を目指すのでしょうか。
私、株式会社グッドライフ代表取締役の小泉翔建は、その理由を「選択肢」という言葉で捉えています。
情報の民主化が起きたように、エネルギーにも選択肢が生まれた
インターネットが普及する前は、情報は一部の人しか持っていませんでした。しかし、ネット社会になって情報へのアクセスが広がり、誰もが情報を得られるようになりました。私はそれによって何が変わったかというと、“選択肢が増えたこと”だと思っています。
私たちは今、スマートフォンひとつで世界中の情報にアクセスできます。
かつては新聞社やテレビ局など限られた主体が情報を発信していましたが、現在では誰もが情報を受け取り、発信できる時代になりました。
私は、この変化とエネルギーの世界に起きている変化は似ていると思います。
エネルギーも同じです。これまで技術上選択肢が取りにくい状況だったと言えると思います。しかし、再生可能エネルギーが登場したことで、どんな電気を使うのか、どんな社会を選ぶのかという選択肢が生まれました。
これまでのエネルギーシステムは、大規模な発電所で電気をつくり、それを遠くまで送る中央集権型の仕組みでした。
私たちは電気を買うことはできても、どこで発電されているのか、誰が利益を得ているのかを意識する機会はほとんどありませんでした。
しかし、再生可能エネルギーは違います。太陽光や風力、小水力、バイオマスといった再エネは、地域に存在する資源を活用できます。
その結果、地域が自らエネルギーを生み出し、それを選んで使う、という選択肢が現実のものとなりました。
技術の進歩が分散型エネルギーを可能にした
一方で、地域主導型エネルギーシステムが必要になったというより、「技術と技術革新に伴う価格の下落により実現できる時代になった、とも言えると思います。
昔は中央集権的なシステムでなければ電力供給は難しかったと思います。でも今は違います。再エネのコストが下がり、蓄電池の性能も向上しました。技術の進歩によって、地域主導型や分散型のエネルギーシステムが組めるようになったんです。
これは非常に重要な視点です。
かつての石炭火力や原子力発電は、大規模設備と巨額の投資が必要でした。そのため、どうしても大企業や国が中心となる構造にならざるを得ませんでした。
しかし、再エネは地域ごとに導入できます。技術革新によって、小規模な電源を組み合わせながら地域のエネルギー需要を支えることが可能になりつつあります。
つまり、地域主導型エネルギーシステムは理想論ではなく、技術的にも実現可能な選択肢になってきていると考えています。
太陽光発電所は「新しい油田」である
私がよく使う表現があります。それは、
「太陽光発電所は油田である」
という言葉です。
油田は中東など限られた地域にしかありませんでした。でも太陽光発電は違います。条件はありますが、多くの地域でエネルギーを生み出すことができます。私は太陽光発電所を“誰でもアクセスできる新しい油田”だと思っています。
この表現は、再エネの本質を非常によく表していると思います。
石油や天然ガスは特定の地域に偏在しています。しかし、太陽光や風力は世界中に存在します。つまり再エネは、地域が自らエネルギーを生み出し、経済価値を創出できる可能性を持っているのです。
地域に眠る資源を活用し、地域の中で利益を循環させる。そこに地域主導型エネルギーシステムの大きな可能性があると考えています。
再エネで地域を活性化させることを選び取ることが重要
再生可能エネルギーの話になると、「地域経済循環に資する」とよく言われます。
しかし、私は少し違う見方をしています。
私は、再エネによって必ずしも地域経済循環/地方創生を実現させることができるとは思っていません。再エネが誰にでもアクセスできるようになったことで、どの地域でも地方創生ができる選択肢が生まれたと考えています。
再エネは目的ではありません。地域の未来を考えるための手段です。
- 地域の雇用を増やす。
- 地域経済を活性化する。
- 災害に強い地域をつくる。
- 地域の若者が将来に希望を持てる環境をつくる。
- 自分たちの価値観や目指す地域の姿に沿った地域作りを行う
そうした地域課題の解決に向けた選択肢の一つとして、再エネが選択肢になるのです。そしてこれを選ぶかどうかは地域の皆さんの意志次第です。
だからこそグッドライフは、「地域を理解させる」のではなく、「地域と一緒に考える」ことを大切にしています。
地域にとってどんな未来が望ましいのか。再エネをどのように活用できるのか。その答えを地域の皆さんと共に考えていきたいと思っています。
地域の未来を地域で決める
もちろん課題もあります。
系統制約や需給調整、周波数維持、国や自治体の支援や制度設計などの経済的/社会的枠組みの整備など、再エネを中心とした電力システムへの移行には解決しなければならない問題が数多く存在します。
しかし、何より必要なのは、科学的で建設的な議論です。
”地域分散型のエネルギーシステムをどう実装していくには今何が必要なのか。”
そのための制度設計や市場設計を進めていくこと、議論することが重要です。
グッドライフは、長野県や諏訪地域でエネルギーが民主化され、地域の在り方の選択肢が増えることを目指しています。そして、その成功事例を全国へ、さらには世界へと広げていきたいと考えています。
地域資源を活かし、地域の利益を地域に還元する。地域と共にエネルギーを考え、地域の未来を共につくる。私たちが目指しているのは、単なる再エネの普及ではありません。
地域の未来を地域で決めることのできる社会です。
その実現に向けて、これからも皆様と地域主導型・地域共生型のエネルギーシステムづくりに挑戦していきます。
株式会社グッドライフ 代表取締役 小泉翔建